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法医学

研究室紹介

医師は人の健康と生死に幅広く関わる専門職業人である。人は誰もその生涯において、それぞれ程度の差はあるにせよ、健康を害し医療を必要とすることが多いが、概して健康な生涯を完結する人達も少なくはない。しかしながら、死だけは全ての人に等しく訪れる。人の死亡は単にその人の戸籍を抹消するというだけではなく、相続、保険、裁判など様々な社会的事象が人の死に伴って発生し、親族その他死者の生前の関係者に影響する。そのような人の死亡に際して、医師だけが死亡診断書あるいは死体検案書の作成をし、人の死亡の証明をなす権限を有している。死亡診断書は医療の最終局面において作成される書類であり、死体検案書はそれ以外の場面で発生した人の死に対して作成される書類である。医療の最終局面としての死については、通常の診療の延長線上において行われる死亡の診断で事足りるが、それ以外の場面で発生した死亡に対しては「死体を検案する」という専門的対応が医師に要求される。法医学ではそのような専門的対応に必要となる知識を学ぶ。

法医学はその知識を人の死をめぐる検案や鑑定に応用する実学である。従って、研究の目的は、その成果を実践的法医診断および鑑定の精度の向上に反映させることにある。法医診断や鑑定を実践する過程において遭遇する様々な未解明課題が研究課題となる。人体に関する法病理学領域の研究、中毒学領域に関する研究、個人識別領域に関する研究が主要な研究領域である。

研究内容

1)法病理学領域の研究

  1. 一般的医療行為?心肺蘇生医療行為に関連する合併症
    医療に起因する侵襲的合併障害を解析する。
  2. 心肺蘇生法による飲酒者の心停止症例に対する蘇生効果
  3. 外因性?内因性突然死
    外因あるいは内因に起因する急死の機序、病態の解明を行う。
  4. 自殺予防のための化学的?生物学的指標物質の探査と自殺予防医療への展開
  5. 高齢者の生活安全に関する予防法医学

2)法中毒学領域の研究

  1. 医療薬物の体内動態と法中毒学的評価
    救急医療処置に使用される薬物について、病態薬物動態学的検討を行う。
  2. 薬毒物の死後体内における安定性と再分布
    諸種薬毒物の死後体内に残存する酵素による代謝や化学的分解の有無、程度を薬毒物の構造と関連させて解明する。
    剖検時採取生物試料における薬物濃度の評価解析基準を作製する。
  3. 飲酒、アルコール死後産生に関する法アルコール学
    飲酒の有無、飲酒量の法医学診断に影響を及ぼす死体に特有な現象を検討する。
  4. 死後産生化学物質の法化学的解析と実務応用
    腐敗産生アミン類や死後産生γ‐ヒドロキシ酪酸について、死体の腐敗程度の評価や死後経過時間などとの関連性を検討する。
  5. 喫煙、飲酒に関する自殺学
    飲酒や喫煙の定量的把握を分析学的に行い、自殺との関連性を中毒学的に検討する。

3)分子法医学領域の研究

  1. 法医生物試料からの遺伝子多型検出に関する法遺伝学的研究
    人体由来の各種試料から遺伝子多型を検出する際に影響する外因を検討する。
  2. ABO式血液型の法遺伝学
    ABO遺伝子型検出の実務有用性と限界を検討する。
  3. DNAおよびRNA分析による病理病態解析
    中毒など様々な外因に起因する組織障害をDNAおよびRNA分析により検討する。
    身体的又は精神的ストレスなど様々な外因に応答して発現する蛋白質のメッセンジャーRNAまたはmicroRNAを定量的に解析する。

スタッフ紹介

役職名?所属 氏名 詳細
教授 古宮 淳一 研究者総覧へ
講師 西村 拡起 研究者総覧へ
助教 中西 祥徳 研究者総覧へ
助教 濱田 知里 研究者総覧へ
名誉教授 橋本 良明

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