◆自然科学系農学部門の井原賢准教授らの研究成果が「Science of the Total Environment」誌に掲載されました

2023年1月18日

 自然科学系農学部門の井原賢准教授と京都大学工学研究科の五味良太助教を責任著者とする研究グループの研究成果が、2022年12月19日付けで「Science of the Total Environment」誌に掲載されました。

 環境省は、人糞便による汚染をより的確に示す指標として大腸菌群数よりも大腸菌数がふさわしいとの判断から、2022年4月から水質環境基準の糞便汚染の指標を大腸菌群数から大腸菌数に改正しました。しかしながら、河川上流域の人為的汚染がほぼ考えられない地点においても大腸菌の検出が報告されており、野生動物の糞便による汚染の可能性も考えられてきました。そのため、人為的汚染と野生動物汚染を区別する方法の確立が求められていました。

 本研究グループでは、水環境中から検出される大腸菌について、人糞便由来の大腸菌とそれ以外の大腸菌を区別する微生物起源解析法の開発に取り組んできました。下水から単離した人糞便由来の大腸菌の全ゲノムを次世代シーケンサー(※)で解読し、他の宿主動物由来の大腸菌のゲノム配列と比較することで、下水由来の大腸菌に特異的なゲノム領域を特定することに成功しました。

 本研究成果により、水環境中の人糞便由来の汚染の程度を推定する方法および微生物起源の解明につながることが期待されます。

 

※次世代シーケンサー???ランダムに切断された数千万から数億の DNA 断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる機器

 

【論文情報】

論文タイトル:Development of two microbial source tracking markers for detection of wastewater-associated Escherichia coli isolates

著者:Ryota Gomi, Eiji Haramoto, Hiroyuki Wada, Yoshinori Sugie, Chih-Yu Ma, Sunayana Raya, Bikash Malla, Fumitake Nishimura, Hiroaki Tanaka, Masaru Ihara

雑誌名:Science of the Total Environment (2023)

URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S004896972208055X

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